水玉みかん さんです。
水玉の綴る「DOZIさまなの!」 と題して堂々、新連載!

勝手にタイトルを、作っています。
1回では語り尽くせないと思うので、続き物にしようと思っています。
誰も聞いてくれない昔話を、心ゆくまで吐き出すつもりですので、申し訳ありませんが、 お付き合いください。 もしも、掲載して頂けるのでしたら、適当に編集して下さい。

さて、第1回は、「
とらうまっ子倶楽部」に倣って、木原作品とのファーストコンタクトから、 始めます。

今を去ること26年、昭和48年(1973年)の春、「ベルサイユのばら」を目当てに買った 週刊マーガレットの、巻頭カラー読みきり堂々70ページ、「愛は不死鳥のように」が、 私が初めて読んだ木原敏江の作品でした。
「ベルばら」は、その前年の5月から連載が始まっていましたが、 私はその時まで毎号立ち読みで「ベルばら」の部分だけ読んでいたので、 週マの他の漫画家さんたちの事を、 全然知りませんでした。

(今の若い方たちは、何故そんな事ができたのかと、思われるかもしれません。当時は、 雑誌もコミックスも、ビニールカバーなどかかっていなくて、本屋さんの目を盗めば、 いくらでも立ち読みができたのです。いつも通る道に本屋さんがあれば、通りすがりに 2、3ページずつ、何日もかけて読み終える、なんて言う事もしていました。)

話がそれましたが、そんなわけで、初めて遭遇した木原作品は、私にどんな印象を 与えたかと言いますと、 まず作品の舞台。第2次世界大戦時、ドイツ軍占領下のフランス。これだけでも、かなり 衝撃。当時、現代物以外の少女漫画は、それだけで充分珍しかったものです。

やっと「ベルばら」がメジャーになりかけていた時代でした。 そのうえ、この作品のメインテーマが、男女の恋愛ではなく、兄弟愛、母子愛であるという 所が、他のマンガと一線を画していました。女の子が、あまり重要な役割を果たして いない、という点も、私には目新しく思われました。なにしろ、「ポーの一族」も始まった ばかり。「風と木の詩」の登場まで、まだ3年の月日を要する時代です。少女マンガと 言えば、女の子が主人公に決まっていました。そうでない作品は、異色と言っても よかったと思います。

ナチスドイツと言えば、やった事はともかく、軍服のデザインだけは、時代を超えてピカ1 なのではないでしょうか。正式なフィリップ一族には加えてもらえないようですが、 せめて遠縁と言わせて欲しいカール少佐に、ドイツ軍の軍服を着せたDOZI様の センスに拍手をおくりたい。他の国の軍隊ではこうは行きません。

「愛は不死鳥のように」で、“木原としえ”と言う名を覚えた一月後、さらなる衝撃を私に 与えたのは、「エメラルドの海賊」の連載開始でした。

今日はここまで。
わたしが、高校に入った年のことです。
今気がつけば、カール少佐の母と同年代になっている私。自分自身母となって、読むと また感動あらたなものがあります。

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“縞りんご”と対をなす“水玉みかん”というハンドルネームで、 見事に私と同世代の文化をお持ちの方のご登場! うれしゅうございます!
はい、私もよく立ち読みしました。単行本の立ち読みなどは数キロはなれた書店まで 遠征して、数時間に及んでいたものです。決して自慢できることではありませんが…。

頂いた御投稿を読んで、この時代以前で“女の子を主人公に していない(女の子があまり重要な役割をしていない)少女漫画”には どんな作品があったかしらと考えてしまいました。
私は、それほど多くの作品を読んでいるわけではないので、記憶を手繰って出てきたのが 水野 英子 先生の『ファイアー!』(昭和44年〜46年)でした。これとて、 掲載誌がなかなか決まらなかったくらい極め付けの異色作品ですよね。
もちろん、もっと他にもいろいろあると思います。 でも、確かに、数の上でいったら圧倒的に少数だったことには間違えないはずです。

『愛は不死鳥のように』がファーストコンタクト、しかもリアルタイムであれば 水玉さまがおっしゃるとおり当時の少女漫画の中に有っては異色づくめ ですから、印象深かったことでしょう。
ただ、まだこの作品をお読みになっていらっしゃらない方に誤解なきように申し上げたいのですが、 絶対に物珍しさだけを狙った作品ではありません。ほかのDOZIさま漫画同様、詩情あふれた DOZIさまワールドの物語です。

実は、数ヶ月前(まだ、この作品を読み直す前)、電車の中で、 私はふと口ずさんでいました。
ぼくのひとみは みずいろです
くりくり まき毛に つむじがみっつ
とかしても とかしても もつれてしまう
あれ? これは何かしら? なんかDOZIさまっぽい…と考えているうちに『愛は不死鳥のように』の 一節だったことを思い出しました。
20年以上の月日をへて、記憶の底で色褪せずに残っているのはDOZIさまワールドの 神髄、リズミカルな詩心(うたごごろ)に包まれた人間愛とでも言いましょうか…。

私のおしゃべりも、今日はここまでにして水玉さまの連載2回目を楽しみにお待ちいたします。


(1999.8.7 up)


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