あすかコミックス(角川書店)

岩を枕に星を抱き

お山を舞台にしたロマ・コメ3部作。 黒髪のジョサイア、金髪のアストバリー兄弟になんとなく新吾摩利の面影を重ねてしまったり。いえ、あくまで“面影”だけです。

初版 1990年7月17日
収録作品
岩を枕に星を抱き 初出 1989年 ASUKA 4月号
アルペンガイドだった両親をなくしたマーゴが、ヒースロー空港に着くところから このシリーズの始まり。
右手に霧の乳を飲み 左に大地の息吹を汲んで・・・
モンブランを見渡すフランス・アルプス、シャモニーが見せ場です。

氷神のやさしい腕 初出 1989年 ASUKA 12月号
吹雪きと見まごうほどのりんごの花びらの乱舞。
「ここはスカンジナビア山脈の いったい どのへんなんだろう !?」 「ここはノルーンよ」
アストバリーと張り合える異境の地のお嬢さまテューラ。二人とも命令文しか話さないんだから。

SNOWY MOUNTAIN (スノウィ マウンテン) 初出 1990年 ASUKA 5月号
タイトルそのままヒマラヤです。ヒマラヤと言えばイエティと呼ばれる雪男。
イエティを捜しに行くのだから、アストバリーはちゃあんとムーミン柄のセーターを着ています。

(1999.7.14up)

花の名の姫君

初版 1991年6月17日
収録作品
花の名の姫君 初出 1991年 ASUKA 2月号〜5月号
「私は 私は マンガで歌舞伎作品をかいてみたかったのでござんすわいな」 とのDOZIさまの念願成就の第一作は、四世 鶴屋南北「桜姫東文章」 (さくらひめ あずまぶんしょう)からでございます。
はなやかに、ドラマチックに、舞台効果満点、お茶目満載。
なにを描いてもDOZIさまは楽しくて、そして、ほろりとします。

口 上 書き下ろし
DOZIさまが“歌舞伎漫画”を描こうと思い至ったお話や、 執筆にあたってのエピソードをご披露。
「現代の私達からみれば あまりにもバカバカしく かったるく そしてウソっぽい 歌舞伎作品の数々 そこがいーのよ」なんてくだりは「“歌舞伎”を“オペラ”に してもそのまま通じるね」と夫とウケまくりました。 もちろん歌舞伎を、オペラを愛するがゆえの発言でございます。はい。

(1999.7.14up)

銀 晶 水

初版 1992年4月17日
収録作品
銀晶水 (ぎんしょうすい) 初出 1988年 ビバプリンセス2月25日号
銀晶水と呼ばれている泉。そのまわりには白いバラしか咲かない。 “土の中に バラの根に がんじがらめにまきつかれて 若い男が横たわっている・・・”
ブルゴーニュ大公国が威勢を振るっていた頃の、きっと当人たちにとっては 幸せな結論なんでしょうねと思うような、割り切れなさの残る恋物語。

ハードボイルドでお祈り 初出 1989年 ミミエクセレント 11号
瞬間過激派 カミーユと能天気 ベルの“割れ鍋にとじ蓋シリーズ” (って勝手にネーミングして良いんだろうか?)、第4作目。 スペインはバラと円月刀と麝香(じゃこう)かおる古のグラナダ、今も昔も真赤な夕日。 カミーユの過激さは血統書付きだったのね !

イラストコレクション
(1999.7.14up)

わたしが嫌いなお姐様

『花の名の姫君』に続いて歌舞伎漫画の3部作です。

初版 1992年6月17日
収録作品
わたしが嫌いなお姐様 (わたしがきらいなおあねえさま)
初出 1991年 ASUKA 7月号〜8月号
容楊黛(ようようたい)作 「鏡山旧錦絵」 (かがみやまこきょうのにしきえ)より
「岩藤さまは とっても いじわるです」と衝撃的な始まり方。 江戸時代、とある大名家の奥仕えのお女中衆。 そりゃ、女の園ですもの、大変ですわ。

流 星 (りゅうせい) 初出 1992年 ASUKA 1月号
福森喜宇助 (ふくもりのきゅうすけ) 作 「其小唄夢廓」 (そのこうたゆめのよしわら)より
江戸の一大歓楽街、吉原。オアソビですまなくなって起こってしまった 悲劇や美談の数々が語り草になるところ。
美少女・小紫(こむらさき)は玉の輿を狙って戦っていたはずなのに。

轟く滝の下で (とどろくたきのしたで)
「雷神不動北山桜」 (なるかみふどうきたやまざくら)より
宮中に帝がおわす時代、恋の鞘当ては時代を超えて不変。 でも、さすが陰陽や卜部(うらべ)が元気な時代、鳴神上人(なるかみしょうにん)が 国中の竜神を閉じ込めて雨を降らなくしてしまったことから、三角関係に決着がついたりするん ですよ。

(1999.7.14up)