四十七文字
初版 1998年11月23日

四十七文字(しじゅうしちもじ)
集英社文庫 ISBN4-08-785058-7
大正浪漫探偵譚(たいしょうろまんみすてりぃ)文庫1
主役は結衣ちゃんと佳央里さま、大正という時代、そしてミステリー。
20世紀末から21世紀へと、息の長いシリーズの第一話から第七話までを収録。
vol.1 菊女の声(きくじょのこえ)
初出 セリエミステリー1993年1月号
 「旧家に幽霊はつきものだ」と言われても、わが身に迫れば「そうですね」と答えられる人も少ないはず。 それを、「おもしろそうだわ」とわくわくして、ちょっかい出してしまうのが結衣ちゃん。
 化けて出る側、出られる側、それぞれに言い分があるのが、四十七文字の浮世の常。
vol.2 菫女の箱(すみれじょのはこ)
初出 セリエミステリー1993年4月号
 雪深い温泉郷の殺人事件での幕開き。居合わせたのは雪国ならではの抜けるような色白の美女。 村には吸血の「土蜘蛛伝説」。
 そんな状況に出くわしたら、結衣ちゃんはもういそいそと真相さがしに雪道を歩きまわってしまいます。
vol.3 蓮女の火(れんにょのひ)
初出 セリエミステリー1993年10月号
 美貌の未亡人は女社長にして芸術家。しかも、「没個性が美徳となる今の日本婦人にはない勇気と野心がある」
 水に浮かぶ華やかな蓮(ハス)の花を支えているのは、泥土の根っこ。人世(ひとよ)のめぐり合わせ裏表。
vol.4 柊夫人(ひいらぎふじん)
初出 セリエミステリー1994年2月号
 窓辺にたたずむ美女への忍ぶ恋で、行方不明者続出。
 巻き込まれ型の結衣たちと、「火のないところに煙は立たぬ… そういつまでも世間をごまかしていることはできますまい」と、腹をくくった関係者の駆け引き。落としどころ如何?
vol.5 黒百合女王(くろゆりじょうおう)
初出 セリエミステリー1994年8月号
 「時は大正初期 旧家の未亡人と婿の弟の密会! そして娘夫婦の不仲! なにかおこるかも…」という結衣ちゃんの期待にそむかず、事件が起こるは起こるは…。
 静養に来たはずだったのに、さわやかな高原には、元・はすっぱな場末の女工、身持ちの悪い母と娘、若いツバメと役者が揃い踏みです。
vol.6 玉藻姫(たまもひめ)
初出 セリエミステリー1995年2月号
 「わたしの専門は怪奇学ではなくて英文ですが……」 シリーズの進行とともに、いつの間にか巻き込まれ型になった佳央里さま。
 で、「伊豆の研究所に出没する怪物」の正体解明を引き受けたわけですが、剣道4段の腕前が鮮やか!
vol.7 白薔薇の君(しろばらのきみ)
初出 セリエミステリー1995年4月号
 貧しいながらも睦まじく病害虫の特効薬の研究に夢を託している薔薇園の夫婦と知り合いになった結衣。
 ある日、外交官のお嬢さまが幼馴染の薔薇園の主を訪ねてくる。洋行がえりの派手好きの女王さまは、なんでも思い通りにならないと気がすまない。経済援助を名目に薔薇園に乗り込むが、彼女のやりたい放題が事件を呼んで…。
あとがき 木原敏江
(一部抜粋)
 妖しくて雰囲気があって、でも本格的にこだわっていて、ちょっと楽しい。
 欲ばってそんなミステリーになればいいなと思いつつ、灰色の脳細胞をさかさに搾って、このシリーズを起こしました。
(2001.7.6up / 02.06.24)