岡本和之氏を訪ねて
 2001年3月レーゲンスブルクで、岡本和之氏の公演をご覧になったA.F.さんが 拙サイトに原稿をお寄せくださいました。
 A.F.氏は、ドイツ系の某レンズメーカー(AFレンズは作っていませんが・・・)に勤務している関係上、シュトゥットガルトへいらっしゃる機会が多く、 カールスルーエにも足を伸ばして大野和士指揮のコンサートにもいらっしゃる由。

 <指揮者大野和士最新情報>の「海外で活躍する有望指揮者」に載っている岡本和之氏の指揮する Theater Regensburgの公演に行ってきました。この場を借りまして皆様に様子をお知らせしたいと思います。
 岡本和之氏は神奈川県立湘南高校出身。高校では大野和士氏の3年下になります。
 岡本和之氏は、レーゲンスブルク(ドイツ)のオペラハウスの音楽総監督代理および第1カペルマイスター(第1指揮者)として活躍しています。


レーゲンスブルク
 レーゲンスブルクは ミュンヘンとニュールンベルクのほぼ間に位置しています。 ドナウ、ナーブ、レーゲンの3川が合流するドナウ川上流の町で、バイエルンの首都、商業都市、帝国議会の都市として栄えていました。
 天文学者ケプラーが晩年を過ごした町でもあります。石畳の狭い路地や、中世の商人館の残るドイツの美しい古都です。 少年合唱団の有名な聖ペータードームは旧市街のほぼ中央に位置しています。
レーゲンスブルクの大聖堂

レーゲンスブルク市立劇場
 歌劇場の名は、プログラム冊子等によれば、単に Theater Regensburg。 その表紙には小さく都市の紋章とStadt Regensburgが書き添えられています。 日本人にわかりやすく言えば<レーゲンスブルク市立劇場>でしょうか。 オ−ケストラは、Philharmonisches Orchester Regensburgです。
 Webアドレスは劇場のパンフレットによれば、http://www.theaterregensburg.de/

レーゲンスブルクの劇場は改装中

 劇場は、演劇、バレエ、ミュージカル、オペレッタ、オペラを公演、オーケストラコンサートを行い、またオケメンバーの室内楽演奏会もあるようです。 岡本氏によれば、演劇を除いても、年間の公演数は100を軽く超えるそうです。
 本来の建物は改築中で2001/冬に再オープン予定。近くに仮設の劇場を建ててこの数年は公演しています。 仮設劇場の名称はVelodrom。仮設劇場は今後も公演目的に応じて併用されていくようです。
 現GMDはGuido Johannes Rumstadt。私が行った3月上旬はGMD不在時期。まさに、岡本氏が大活躍でした。

仮劇場Velodrom

Cosi Fan Tutte
 2001年3月2日「Cosi Fan Tutte」の新演出初日を観ました。

指揮:岡本和之
演出:Stefan Maurer
美術と衣装:Rainer Sinell
Fiordiligi:Katrin Mann
Dorabella:Maria Soulis
Guglielmo:Daniel Boehm
Ferrando:Mark Tevis
Despina: Christiana Knaus-Waldmann
Don Alfonso:Alex Fleuriau Chateau
Opernchor Theater Regensburg
Philharmonisches Orchester Regensburg
「コジ」の公演ポスター


 岡本氏はチェンバロを弾きながらの指揮。オケはそう大きくない編成。
 全体として、起伏や流れが美しく弧を描いたような演奏(言葉で言うのはまあ無理ですね)で、 歌にかぶさるViolin群のスルタスト(指板付近で弓を動かし、うっすらした響きを出す)的な柔らかい音が印象的でした。

 歌手たちはすごくよかった印象。一部体調が悪いため不調の人がいましたが。 (例によって演奏前に劇場側からの口頭説明がありました。)

 演出は少し過激な現代風。ドン・アルフォンゾは若い遊び人風。 岡本氏によれば、 Mozartのスコアでこの役は結構高音があるらしく、本来は年寄りの役ではないのでは、とのこと。 低音の歌手が歌う上演の重唱では、他の男性歌手とパートを入れ替えたりする事もあるようです。

 「ファッションやおしゃべりに余念のない姉妹の部屋。その恋人のサラリーマン男性2人は、 ドン・アルフォンゾの口車に乗せられ、恋人を試すため国連PKO(または地雷撤去ボランティア?)に、 何かの回収用のビニール袋をもってユニフォームを着て出かけます。
 次の場では、虎やライオンの被り物と派手な衣装による変装で戻ってきて、 お互いの別の相手に活発に誘いをかけていきます.....」
 こんな感じですが、基本的に筋は変わっておらず、アクティブで、見て興味深い、いい演出でした。 演出家は演劇畑出身で、オペラ演出は初めてだそうです。

 劇場は仮設ですが、低音などコントラバス1人とは思えないほど響いてきました。 ヨーロッパにはこういう感じで響くホールやオペラハウスは多いと思います。 この10年くらいで増えてきた東京の残響の長めのホールよりも、何と言うか、響きが深い感じです。

 客席はほぼ満席。イタリア語のレシタティーヴォのやりとりで客席から笑い声もでたりで、みんな楽しんでいる様子です。
 終演後は、近くのレストランへ。さすがにオペラのお客も多そうです。 店のマスターはオペラにも来ていて、マエストロと談笑と、シュナップス一杯の一気飲み。

ドイツの古い街でよく見かける狭い路地

音楽総監督代理
 この「コシ・ファン・トゥッテ」のプレミエ前後、岡本氏は超多忙。 前の週の木曜、昼間に地元老人会向予約公演で<こうもり>を指揮、その日の夜おなじく<こうもり>の一般向け公演。 1日おいてトスカ、その翌日はタンホイザーを指揮。
 コシのプレミエのあと、1日おいた日曜はふたたび<こうもり>を15:00と19:30の2公演と続きます。 GMD不在時期なので<音楽総監督代理>として、何十通もの書類に目を通してサインしたりとかもある様子。

「タンホイザー」の公演ポスター。
どんな舞台だろうか


 この後、日々のオペラ公演以外の主なところでは、3/19にシンフォニーコンサート指揮(コープランドやドヴォルザークなど)、 4/6は「ウィンザーの陽気な女房たち」のプレミエ指揮。
 岡本氏は2001年の夏もバイロイト。ティーレマンのアシスタントとして<パルシファル>に携わります。 レーゲンスブルクの来シーズンの岡本氏指揮プレミエ演目や、シンフォニーコンサートも決まってきているようです。 詳細は、「海外で活躍する有望指揮者」の項、もしくはレーゲンスブルク市立劇場のWebをご覧ください。
 岡本氏の今後の一層の活躍を期待しましょう。
写真提供 A.F.氏
(2001.7.14 up)

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